「燃えなさい……もっと激しく！
卑しく醜い庶民が炎上する姿、それを眺めるのは至高の娯楽……
無様に燃え上がるその姿で、もっとわたしを愉しませて！」

世は国民総配信時代。

国民の９９％がスマホを手にし、
２０代以下の３割が、ネット上に動画を投稿した事があるという時代。
学生たちにとって、動画の「再生数」や「いいね」の数字こそが、
己への評価であり価値であった。

彼らは己の自己顕示欲、承認欲求を満たすため、
競い合うように危険な動画配信を行い、
日本全国では炎上事件が相次いでいた。
教育者たちが頭を抱える一方で、学生たちによる
危険動画の投稿は後を絶たず、
日本の若者たちのモラルは崩壊の危機に瀕していた。

媛城（ひめしろ）女学院――
来戻山（きもどりやま）の麓、
深い森の奥に建つ、長い歴史を持つ由緒ある学び舎。
そこでは政治家や資産家、名家出身の
麗しき娘たちが集い、華やかな日々を送っていた。

だがその裏側では、
平穏に退屈し、鬱屈した欲望を持った少女たちが
闇の娯楽に興じていた。

彼女たちの愉しみは、愚かな庶民たちを焚きつけ炎上させる事。
ネット上で人々が燃え上がる姿を見て、
面白可笑しく嗤う、歪んだ少女達。

遊び半分で点けた火が、やがて猛炎となり、
彼女たち自身を焼きつくす事も知らずに。

重い門扉の前に立つ一人の男。
彼の名は「大和　正義（やまとまさよし）」。
「火消し」と呼ばれる、炎上事件の鎮静化を専門に
請け負うエージェント。
今回の彼の任務は、庶民に火をつけて喜ぶ
犯人を探し出して『教育』する事。

だが、炎上事件に関しては百戦錬磨である
彼の勘が告げていた。
この一件は、これまでになく危険であると。

「歪んだ自己顕示欲を持つ者を煽り、その炎上する様を見て悦ぶ、
趣味の悪い悪戯はそこまでだ。
世間知らずのお嬢様には、少しハードな『教育』が必要だな……！」

連続する炎上事件。
神出鬼没の美しき少女。
夜の礼拝堂から漏れる謎の祈り。
地下牢に響く淫靡な嬌声。
謎の教室、たんぽぽ組とは？

罪無き民を苦しめる、冷酷非道な令嬢たち。

閃く白刃で、燃え上がる昏き炎を祓え、大和！
時雨流淫法の剛槍がいま、濡れた淫邪の秘裂を穿つ！