story

「塔」と呼ばれる、巨大な地下迷宮。
かつては地上にそびえ建つ巨大な建造物だったが
神の怒りに触れ、地底深くに沈められたという。

その地下迷宮の最下層。
今は監獄として利用されているその場所で、
一人の男が目を覚ます。
男には記憶がない。
自分が何者なのか、何故そこに囚われていたのかも判らない。
男は偶然手に入れた一振りの黒剣を頼りに
地上を目指し、地底の巨大な「塔」の中を彷徨い
ただひたすらに登っていく。
だが塔の中には様々な危険が待ち受けていた。
人の血肉を啜る魔獣、人を騙し唆す塔の住人たち、
そして「混沌」と呼ばれる危険な存在が
ヴェルトの行く手を阻む。
「混沌」は人間の精神と肉体を蝕み破滅をもたらす。
混沌に侵された者は、もう人間には戻れない。
混沌の眷属と呼ばれる邪悪な存在の中でも、
もっとも危険な存在――
女悪魔(デモネス)と呼ばれる、淫欲と堕落、破滅の象徴。
彼女たちの甘美な誘惑の声は、幾度となく
塔を昇るヴェルトの心を惑わせる。
目覚めた男――ヴェルトの辿り着く世界は
陽光差し込む自由な地上の楽園か、それとも
放蕩と享楽に彩られた淫靡な地獄か。

ヴェルトは闇の中、ただ昇り続ける。
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